第15回普及促進ワーキンググループ会合レポート
2020年1月29日(水)に、第15回普及促進ワーキンググループ会合が開催されました。その模様を紹介します。
アジェンダ
- 5Gプレサービスでの新体感施策のご紹介
- 株式会社NTTドコモ 山添 隆文 氏
- LPWA活用事例のご紹介 ~ 開発裏話・終わりなき戦い ~
- 株式会社管理工学研究所 村林 弘之 氏
- IoTプラットフォーム「RouteZ(ルートジー)」のご紹介
- 株式会社JLabs 川上 祐介 氏
5Gプレサービスでの新体感施策のご紹介
株式会社NTTドコモ 山添 隆文 氏より、同社による 5G プレサービスの新体感施策をご紹介いただきました。
同社は 9 月より 5G プレサービスを開始し、5G 対応のスマートフォンと多彩な周辺デバイスを連携させたソリューションを創出する仕掛けとしてマイネットワーク構想を立ち上げました。その一環で、米国の Magic Leap 社と提携し、MR (複合現実) ヘッドセットデバイス「magic leap 1」を使ったデモを披露してきました。そのほか、世界的なスポーツイベントで、マルチアングル低遅延ライブ映像を全国の複数の会場に配信することにも成功しました。
これら映像系の実証実験では、同社の局内に設置されたドコモオープンイノベーションクラウド (dOIC) を使うことで、映像配信の遅延時間を 1 秒未満に抑えられました。体感では Wi-Fi などのローカルネットワーク上に構築されたシステムとほとんど違いが感じられないほどです。
これら実証実験の成果は、2020 年 1 月に開催されたドコモオープンハウス 2020 でも一般に公開されました。また、5G の体験は、d garden 五反田店 (ドコモショップ五反田店) などでも常時一般に公開されています。
LPWA活用事例のご紹介 ~ 開発裏話・終わりなき戦い ~
株式会社管理工学研究所 村林 弘之 氏より、LPWA (Low Power Wide Area) を活用したシステム開発の課題などについてお話しいただきました。
公共の場に臨時に設置されるような案内設備(たとえば案内板)は、人や自動車などとの衝突や、強風によって転倒する可能性があります。このような設備の転倒や盗難は事後にしか認識できなかったため、自動的に転倒の検知し管理者に通知を行う仕組みを開発しました。それぞれの設備に加速度センサーを取り付け、加速度が閾値を超えたら、その情報をクラウドに送信します。さらに数秒後に設備の姿勢 (倒れているかなど) を送信することで、衝撃の後にどのような状況になっているのかも推測します。
こういったシステムで課題となるのは電源です。通常、こういった屋外に臨時で設置する設備では商用電源は期待できないため、センサーと通信モジュールの動作は電池で駆動する必要があります。当初の仕組みでは、PAN(IEEE 802.15.4)を使い、各設備を無線マルチホップでつなぎ、商用電源が取れる場所に設置したゲートウェイを通してクラウドにデータを送信する仕組みを採用しました。しかし設備が転倒するとメッシュネットワークが切れてしまうという現象が発生します。またメッシュネットワークの再構築にも時間がかかることが分かりました。さらにメッシュネットワークでは各デバイスをスリープ状態にすることができないため、電池消費が激しい点が問題となりました。
その後の改良版では各設備に LTE-M 通信モジュールを搭載し、ゲートウェイを経由せずに各設備が直接クラウドにデータを送信する仕組みとすることで、当初の課題を解決しました。しかし、トンネル内など圏外の場所、電池の消費および交換頻度といった問題に加え、これだけ話題になっているにもかかわらず小ロットで入手可能な LPWA 向けのデバイスの選択の余地の少ないなど、LPWA の実運用はまだまだ課題が多く苦労は続きます。
IoTプラットフォーム「RouteZ(ルートジー)」のご紹介
株式会社JLabs 川上 祐介 氏より、同社サービスの IoT プラットフォーム「RouteZ (ルートジー)」についてご紹介いただきました。
RouteZ とは、Z-Wave のデバイスを制御・管理し、IoT サービスを実現するためのソフトウェアがすべて統合された開発プラットフォームで、B2B 向けのソリューションです。数少ない工数で迅速に IoT サービス環境を構築することが可能です。サービス仕様確定から最短で 2 か月で納品することも可能です。
同社では Z-Wave のゲートウェイ向けソフトウェアの提供も行っており、RouteZ と組み合わせて、RouteZ のシナリオエンジンによる自動制御・連携操作を実現できます。例えば、AI スピーカーによる照明の操作、ボタンデバイスを通して一斉に電源操作、センサーが反応したら電気をつけてカーテンを閉める、といった自動制御が可能となります。
RouteZ の最新バージョン (Ver.3.0) では、アプリケーションプラットフォームも追加されました。家電操作、タイムライン、チャット、お知らせ、マイページといったスマートフォンのベースアプリも提供しています。これらを活用することで、より一層、コンシューマー向けサービスを一気通貫で迅速に開発することが可能となります。