第13回普及促進ワーキンググループ会合レポート
2019年7月17日(水)に、第13回普及促進ワーキンググループ会合が開催されました。その模様を紹介します。
アジェンダ
- 5G の動向と、5G 時代の PoC について
- KDDI株式会社 垣内 勇人 氏
- 新 LPWA 規格 ZETA の技術概要と ZETA アライアンスの取り組みについて
- アイティアクセス株式会社 澤村 宗仁 氏
5G の動向と、5G 時代の PoC について
KDDI株式会社 垣内 勇人 氏より、KDDI の 5G の取り組みについて紹介いただきました。
5G では、ピーク速度、移動性、システム容量、接続機器数、遅延、消費電力が 4G と比べ大幅に進化している点が大きな特徴です。総務省からはすでに電波周波数が割り当てられ、2020 年ごろに、まずは高速・大容量をサポートした形で 5G の商用サービス開始を目指しています。それ以外の高度な機能はその後サービスを順次開始できるよう準備を進めています。
4G では実現できなかった機能を実現するためには、電波の部分だけでなく、コアネットワーク側の対応も必要です。そのため、KDDI では 5G に最適化したコアネットワークも作り直す予定です。
5G の特徴の一つである低遅延はあくまでも電波部分の話であり、アプリケーションとして低遅延を実現するためにはMEC(Multi-access Edge Computing)が欠かせません。コアネットワーク内で折り返すことで、大幅な応答時間短縮を実現できます。
5G では 28 GHz といった高周波数の電波を利用します。これによって大容量・高速通信を実現する一方、到達距離が短い、障害物によって電波が遮断されやすい、といった課題もあります。基地局アンテナの工夫や 4G との組み合わせなどで電波が途切れることはありません。
KDDI では 5G/4G エミュレーターを開発し、5G 商用サービス前に 5G 対応アプリの開発を支援しています。5G 商用サービスに向けて、世の中から求められるユースケースを実サービスに反映していきます。
新 LPWA 規格 ZETA の技術概要と ZETA アライアンスの取り組みについて
アイティアクセス株式会社 澤村 宗仁 氏より、LPWA の一つである ZETA についてご紹介いただきました。
ZETA の大きな特徴は、超狭帯域による多チャンネル通信、メッシュネットワークによる広域での分散アクセス、そして、双方向での低電力通信です。他の LPWA と比べ、誕生が比較的新しく、他の LPWA の良い点をうまく吸収しています。
ZETA は見通しで 10 km ~ 20 km の通信距離が見込まれますが、中継器を設置することで通信距離をさらに延長することが可能です。また、中継器も電池で駆動可能なため、電源を確保できない地域でもその恩恵を受けることができます。
一方で、通信距離は数キロメートルと短くなりますが、ZETag と呼ばれる、安価で使い捨て可能なデバイスも開発されています。長薄やフレキシブル(曲げられる)製品も開発されており、物流、医療などの分野での活用に期待されています。
近々、各種センターを接続できる ZETA 評価ボード、そして、アクセスポイント用のデバイスなど、ZETA 開発ツールの販売も予定されており、誰でも簡単に ZETA を評価することができる予定です。
2018 年に日本国内で ZETA アライアンスが設立され、2019 年 7 月現在で加盟会員は 67 会員にのぼります。さらに中国でも ZETA アライアンス・チャイナが設立され、加盟会員は 76 会員にもなります。