第11回技術ワーキンググループ会合レポート

会合の模様

2018年11月2日(金)に、第11回技術ワーキンググループ会合が開催されました。その模様を紹介します。

アジェンダ

DeviceWebAPI and other standardization status of OMA CD WG
Hansung University Min-gyu Han 氏
RT ミドルウェアのIoTプラットフォームへの適用
株式会社セック 一番ヶ瀬 敦 氏
凸版印刷の次世代に向けた建材開発
凸版印刷株式会社 小林 浩希 氏
LPWA Sigfox ネットワークとクラウド連携
京セラコミュニケーションシステム株式会社 日比 学 氏

DeviceWebAPI and other standardization status of OMA CD WG

Hansung University Min-gyu Han 氏より、DeviceWebAPIをはじめとした国際標準化団体 OMA における標準化動向を紹介いただきました。

OMA は、2018年3月に OMA SpecWorks という名称に変え、IPSO Alliance を吸収合併しました。OMA ではすでに GotAPI、そして GotAPI 上でヘルスケア機器を扱う DWAPI、3D プリンターを扱う DWAPI-3DP が標準化されました。現在は、SNS との連携を実現する SNeW(Social Network Web)、SWoT(Social Web of Thing)がワークアイテムとして活動中です。

新たな活動として、AI 技術を使って 2D 画像を 3D モデルに変換する 3DCAPI がワークアイテムとして提案されています。現在はアーキテクチャーの提案までですが、今後は詳細な技術仕様を策定していく予定です。

今後の OMA における DeviceWebAPI 以外の活動としては、ブロックチェーンを使った IoT 認証サービス API、Lightweight M2M と連携するための GoAPI/DWAPI インタフェースなどが予定されています。

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RT ミドルウェアの IoT プラットフォームへの適用

株式会社セック 一番ヶ瀬 敦 氏より、RT ミドルウェアおよびその IoT プラットフォームへの適用について紹介いただきました。

セック社では 2003 年ごろから RT ミドルウェアに深くかかわっており、標準化活動、大学や研究機関との協業、経産省・NEDO の研究プロジェクトの参画などの活動を行ってきました。

RT ミドルウェアとはロボットを制御するための規格及びその実装のことを意味します。RT ミドルウェアの大きな特徴は、ロボット制御の要素をコンポーネント化している点です。必要な機能を実現するにあたり、コンポーネント化されたモジュールを必要なだけ組み合わせて目的を達成することができます。RT ミドルウェアではネットワークを通して複数のデバイス(ロボット)を協調して動作させることも可能です。このコンポーネント化は、国際標準化団体 OMG (Object Management Group) にて、「ロボット用ソフトウェアのモジュール化に関する標準仕様」で標準化されています。

セック社では、この RT ミドルウェアの概念を IoT プラットフォームにも活かしています。コンポーネント化されたモジュールを組み合わせることで、簡単な操作でさまざまな家電を操作したり、複数の家電を連携するといったことを実現できるようになります。こういったプラットフォームがオープンイノベーションの土壌になることを期待しています。

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凸版印刷の次世代に向けた建材開発

凸版印刷株式会社 小林 浩希 氏より、IT を組み合わせた次世代の建材開発の取り組みについて紹介いただきました。

凸版印刷社では、これまでに、さまざまな IT 建材を開発してきました。「木目から光る壁」「透明/白濁するフィルム」「歩くと光る床」「座るだけでストレスチェックするイス」など、センサー技術と表面技術を組み合わせた取り組みを行ってきました。

近年では IoT 建材「位置検出床」を開発しました。床を踏むだけで発電し、その位置情報を発信する仕組みです。これにより、家の中のどの位置に人が移動したかをリアルタイムに把握することができます。この「位置検出床」を使って「未来の家プロジェクト」で実証実験が行われました。

そのプロジェクトでは、実験用のトレーラーハウスの床に位置検出床が敷きつめられ、約 100 個ものセンサーが埋め込まれました。NTTドコモ社の IoT アクセス制御エンジン「Symphony」を通してセンサー情報を収集し、住人のスマートフォンに結果を見せたり、遠隔地から被験者の移動をモニタリングしました。こういった実験を通して、今後は人の異常判定などの解析にも応用していく予定です。

LPWA Sigfoxネットワークとクラウド連携

京セラコミュニケーションシステム株式会社 日比 学 氏より、LPWA の通信規格の一つである「Sigfox」の概要と、通信データとクラウドをどのように連携するのかについて紹介いただきました。

Sigfox とは、フランスに拠点を置く Sigfox S.A. が開発した LPWA の通信規格です。1 国 1 事業者と契約し、その事業者がネットワークの構築と運用を行うことで、グローバルに展開しています。すでに 53 か国 (2018 年 10 月現在) でサービスが提供されています。

Sigfox の大きな特徴として、低消費電力、低コスト(1 回線年額 100 円~)、クイックスタート(SIM やペアリング設定などが不要)などが挙げられます。Sigfox は 1 パケットにつき 12 バイトのデータを送信することができるウルトラナローバンド通信ですが、複数回フレーム伝送、周波数ダイバーシチ、スペースダイバーシチといった対策により、耐干渉、耐障害を実現しています。

Sigfox には、Monarch(モナーク)と呼ばれるシームレス・グローバル・ローミングの仕組みが用意されています。各国のSigfox 事業者をシームレスにつなぎ、1 つのデバイスが世界中を移動しても、それをトラッキングできます。事例の一つとして、ルイ・ヴィトンの旅行鞄で追跡サービスが提供されています。

Sigfox デバイスが送信したデータは、いったん、Sigfox クラウドに集約されます。Sigfox クラウドでは、利用者に対して API が提供されおり、デバイス管理、ユーザー管理などが可能です。また、過去の通信データを取得する API も用意されています。さらに、Sigfox Callback と呼ばれる仕組みも用意されており、デバイスが送信したデータをリアルタイムに受け取ることも可能です。

Sigfox を手軽に試せるよう「Sigfox Shield for Arduino」が販売されています。1 年の通信費込みです。

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