第7回技術ワーキンググループ会合レポート

会合の模様

2017年7月14日(金)に、第7回技術ワーキンググループ会合が開催されました。その模様を紹介します。

アジェンダ

デバイスコネクト活用事例紹介
株式会社管理工学研究所 村林 弘之 氏
クラウド連携版デバイス WebAPI
株式会社NTTドコモ 山下 顕 氏
デバイス WebAPI 設計の進め方について
株式会社NTTドコモ 山添 隆文 氏
株式会社ムーンギフト 中津川 篤司 氏
IoT におけるセキュアな VPN 通信
大日本印刷株式会社 中田 雄一郎 氏
Raspberry Pi (OSH) の産業利用の現状
株式会社ビズライト・テクノロジー 田中 博見 氏

デバイスコネクト活用事例紹介

株式会社管理工学研究所 村林 弘之 氏より、デバイスコネクトのプラグイン開発の事例紹介、展示会でのデモ展示紹介、そして、プラグイン開発における課題について提起いただきました。

管理工学研究所社では、乾電池型IoT製品「MaBeee」のプラグインを開発し、スマートフォンからデバイスコネクトを経由して、「MaBeee」を入れたプラレールを制御するアプリケーションを開発しました。金沢で開催された「e-messe金沢」にて、このデモを展示し、来場の子供たちに好評だったとのことでした。

あわせて、LED ストリップライトを Raspberry Pi 3 からサブギガ帯無線方式を使って制御するデモも開発。スマートフォンと Raspberry Pi 3 の間(Wi-Fi)をデバイスコネクトを経由してライトを制御する仕組みも開発。

これらプラグイン開発に当たり、プロファイル定義をどうするべきかに悩んだとのこと。まだデバイスコネクトのプロファイルとして定義されていない機能については、独自に定義することになりますが、それが適切な設計になっているか、また、今後、どのようにオープンに、そして標準化していくのかなど、新たに登場するデバイスのAPI設計について多くの課題を提起していただきました。

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クラウド連携版デバイス WebAPI

株式会社NTTドコモ 山下 顕 氏より、デバイス WebAPI のコンセプトを継承したクラウドサービス「Symphony」(開発コード名)について紹介いただきました。

これまでのデバイス WebAPI は、あくまでもスマートフォン内で完結する枠組みだ。GotAPI サーバーとなるマネージャーアプリに加え、デバイス連携用のプラグインを追加でインストールし、同じスマートフォン内の Web プラウザーやネイティブアプリからプラグインが提供するデバイス連携サービスを利用します。

一方 Symphony は、プラグインが提供するデバイス連携サービスをそのままクラウド側に延長し、外部のブラウザーやアプリなどから Symphony を通して、プラグインのデバイス連携サービスが利用できる。外部のブラウザーやアプリから見れば、あたかもクラウドにプラグインが存在するかのように見え、遠隔からデバイスを制御することができるようになります。

Symphony と連携するプラグインやマネージャーのインストール先は、スマートフォンだけでなくホームゲートウェイも視野に入れており、実際には、PC や Raspberry Pi などのハードウェアでも動作するべく、node.js 版もサポートしています。

Symphony は、ホームゲートウェイを経由してデバイスが操作できるのはもちろんのこと、ユーザーごとの権限管理もサポートしています。将来的には、ホームゲートウェイ経由で収集したセンサー情報などを AI/ビッグデータ解析する基盤としても開発を進めています。

すでにNTTドコモ社より発表された「未来の家プロジェクト」や「AI エージェント基盤」にも Symphony が活用されています。今後は Symphony 技術セミナーの開催、実証実験、そして、利用規約などサービスとして提供するための準備を進める計画です。

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デバイス WebAPI 設計の進め方について

株式会社NTTドコモ 山添 隆文 氏、および、株式会社ムーンギフト 中津川 篤司 氏より、デバイスWebAPI設計の進め方について提起いただきました。

これまでのデバイスコネクトのコンセプトや仕組みなどをおさらいしたうえで、新たに「用途・目的に応じたAPIの設計指針」「デバイスWebAPIのデザインパターン」そして「API 作成ガイドライン:API 記述のルール」を提案いただきました。これらの指針やルールはすでに GitHub にて公開した旨、報告がありました。

また、API 設計に関して(限定はしない)意見交換できる場として、GitHub に「DeviceConnect コミュニティ」を立ち上げた。ぜひ、ここでデバイスコネクトの利用およびプラグイン開発などで疑問や議論のネタがあれば、気軽に投稿してほしいとのこと。

なお、このコミュニティ運営には、Developer Relation の世界で著名なムーンギフト社の中津川氏にご協力いただくことになりました。

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IoT におけるセキュアな VPN 通信

大日本印刷株式会社 中田 雄一郎 氏より、安価なソフトウェア型 VPN で強固な認証機能を持つ「DNP Multi-Peer VPN」をご紹介いただきました。昨今、IoT におけるセキュリティーは大きな課題となっており、業界としても解決策が求められています。このソフトウェア製品は、NW カメラ、ゲートウェイ、家電、スマートフォンアプリなどに組み込みが可能です。マネージメントサーバーを介して端末認証が可能ですが、電子証明書は端末固有情報に紐づいているため、別の端末では無効となります。

大きな特徴としては、VPN を使うことで、外部ネットワークの管理端末からルーターを超えて IoT 機器を制御できるだけでなく、IoT 機器がいるローカルネットワークも含めて中継路すべてをセキュアにできる点です。

もう一つの特徴としては、車載機器など移動する IoT 機器もシームレスに接続できる点です。これは、VPN 内で仮想 IP アドレスを使うことで、移動によってグローバルアドレスが変わっても、VPN 内では IP アドレスが固定になるため、実現できます。

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Raspberry Pi (OSH) の産業利用の現状

株式会社ビズライト・テクノロジー 田中 博見 氏より、オープンソースハードウェア(OSH)の産業利用の実態について解説いただきました。

近年、Raspberry Pi や Arduino に代表されるようなオープンな SBC やマイコンボードが人気を博しています。これらの OSH は主にモック作成や教育分野やホビーで使われていますが、これを産業向けに利用する動きが出てきました。

OSH を産業用に利用するにあたり、社内からは「だれが責任を取るのか」との声が上がりやすく、なかなか採用に踏み切れません。しかし、過去を振り返れば、かつてオープンソースソフトウェア(OSS)を採用しようとした時代に重なります。今では Linux は当然のように産業用機器に採用されています。田中氏は今後 OSH も OSS と同じになるだろう予想しています。OSH にはオープンかつ圧倒的な量の情報、さらにデバイスドライバなども充実しており、安価かつ迅速にサービスを提供できるからです。

とはいえ、はやり近年流行っている OSH は、耐久性・信頼性という側面では産業用ハードウェアに劣るのも事実です。ビズライト・テクノロジー社は、OSH の産業用機器としての採用の普及を目指すべく、Raspberry Pi に耐久性・信頼性を加えた IoT ゲートウェイ製品 BH2/BH3 を設計・生産し、販売しています。電源断問題の解決、RTC の搭載、ノイズ対策、温度対策が施されています。これによってRaspberry Pi で開発したプロトタイプをそのまま実用化することが可能となります。すでに自動販売機、工場、船舶、デジタルサイネージなどでも採用されています。

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