第4回技術ワーキンググループ会合レポート
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2016年6月29日(水)に、第4回技術ワーキンググループ会合が開催されました。会合には 36 会員 56 名が出席しました。今回の会合は、通常より多くの発表が行われ、30 分延長しての開催となりました。
アジェンダ
- デバイスコネクトの開発状況報告
- 株式会社NTTドコモ 山添 隆文 氏
- イベント出展報告
- 株式会社NTTドコモ 吉川 貴 氏
- GitHub ドキュメント整備状況報告とハンズオン
- 株式会社NTTドコモ 山下 顕 氏
- ブリリアントサービスとインフィニテグラの協業事例
- インフィニテグラ株式会社 長野 清人 氏
- 株式会社ブリリアントサービス 飯田 啓介 氏
- DWAPI-3DP of OMA
- Hansung University, Min-gyu Han氏
- ETRI(Electronics and Telecommunications Research Institute), Seung Wook Lee 氏
- 指紋認証と FIDO について
- 株式会社ディー・ディー・エス 井上 幸三 氏
- MaBee + Beacon
- 株式会社ACCESS 長野 宏輔 氏
デバイスコネクトの開発状況報告
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株式会社NTTドコモ 山添 隆文 氏より、GitHub に公開されているデバイスコネクトの開発状況を紹介していただきました。
GotAPI サーバーから Profile のリストを取得する serviceInformation API は Profile 名が得られるのみで詳細がわかりません。そのため、各 Profile が指す機能のエンドポイント(API アクセスの URL)などの詳細情報も返す機能が追加されました。その他、API 名の命名規則もキャメルケースに統一され、一貫性のあるAPI設計になりました。
今後の計画として、Swagger ベースのモデルファーストのフレームワークの提供などが発表されました。
イベント出展報告
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株式会社NTTドコモ 吉川 貴 氏より、今年度の現在に至るまでのイベントへの出展について報告いただきました。
5月6日~5月8日に開催された Junction Asia では、NTTドコモ社が参加し、デバイス WebAPI をハッカソンに提供しました。
5月25日~5月27日に開催されたワイヤレス・テクノロジー・パーク 2016 とワイヤレスジャパン 2016 には、NTTドコモ社が出展しデバイス WebAPI の取り組みを紹介。また、コンソーシアム会員のインフィニテグラ社とビッグローブ社も出展しました。ワイヤレスジャパン 2016 ではインフィニテグラ社の清水氏とNTTドコモ社の山添氏が講演を行いました。
6月8日~6月10日に開催された APPS JAPAN では、デバイス WebAPI コンソーシアムとして出展し、NTTドコモ社と Vuzix 社が共同でスマートグラスを使った遠隔作業支援のデモ展示を行いました。
GitHub ドキュメント整備状況報告とハンズオン
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株式会社NTTドコモ 山下 顕 氏より、GitHub ドキュメントの整備状況をご報告いただきました。
現時点で、「Device WebAPIとは?」「Getting Started」「対応デバイスについて」「DeviceWebAPIの利点と欠点」が整備され公開されています。整備されたドキュメントに沿ってハンズオンも行われました。
今後は「SDKの使い方」「チュートリアル」「APIドキュメント」の整備を行う予定であることが発表されました。
ブリリアントサービスとインフィニテグラの協業事例
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インフィニテグラ株式会社 長野 清人 氏、株式会社ブリリアントサービス 飯田 啓介 氏よりデバイスコネクトを使った協業事例を紹介していただきました。
この協業によって開発されたシステムは、現場の作業者がサーマルカメラを使って撮影した映像を、作業者自身はスマートグラスで見つつ、遠隔にいるオペレーターにも送信し、映像を共有します。
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サーマルカメラはインフィニテグラ社の小型サーマルカメラ「OWLIFT」を使い、デバイスコネクトをインストールしたスマートフォンで取得し、それをスマートグラスに投影します。そして、その映像は、ブリリアントサービス社が提供する遠隔視線共有サービス「リモートリレーソリューション」を使って、WebRTC を通して遠隔の PC に送信する仕組みとなっています。
DWAPI-3DP of OMA
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Hansung University の Min-gyu Han氏より、国際標準化団体 OMA での 3D プリンターの API 仕様「DWAPI-3DP」の標準化状況を解説いただき、そして、ETRI(Electronics and Telecommunications Research Institute)の Seung Wook Lee 氏から 3D プリンターに関する技術について解説いただきました。
OMA では ETRI と Hansung University により GotAPI 上で 3D プリンターを操作するための API 「DWAPI-3DP」を策定しています。GotAPI を通して 3D プリンターを利用するためのサービスフローやアーキテクチャーが紹介されました。「DWAPI-3DP」の策定は 2017 年の早いうちに完了する予定です。また、すでにプラグインの開発にも着手しており、オープンソースプロジェクトとして公開する予定であることが発表されました。
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3D プリンターに関する技術の紹介では、ETRI で研究開発されてるレーザーベースのハンドヘルドの 3D スキャンの技術、ステレオカメラで撮影された映像から医療用高品質の顔の 3D モデルを生成する技術、3D モデルを編集する技術などを詳細に解説していただきました。
指紋認証と FIDO について
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株式会社ディー・ディー・エス 井上 幸三 氏より、パスワードがいらないオンライン認証を実現するオープンスタンダード規格「FIDO」について解説いただきました。
FIDO は、指紋認証などで使われる生体情報をデバイスから出すことなく認証が可能となり、安心して利用できます。すでに標準化された FIDO1.0 には、生体認証を組み合わせて認証を完結する UAF という仕組みと、近年ウェブサービスでは一般的になった 2 段階認証の手段として使う U2F という仕組みが用意されています。現在は FIDO 2.0 の策定作業が始まっており、それと並行して W3C では、ブラウザーから認証を可能にするための API が策定も始まっています。
MaBee + Beacon
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株式会社ACCESS 長野 宏輔 氏より、ノバルス社の電池型 IoT デバイス「MaBeee」を使ったデモを披露していただきました。MaBeee は、単四電池を単三電池として使えるケースですが、内部に BLE が組み込まれています。そして BLE を使って遠隔で電源の ON/OFF を制御することができる製品です。
ACCESS社が提供する「ボタンビーコン」を押すことで、スマートフォンがそれを検知し、MaBee を入れたプラレールの電車を制御するデモを披露いただきました。
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近年はモノの情報を、スマートフォンを経由してクラウドに送信され、そのスマートフォンからサービスを受ける形態が一般的ですが、今後は、披露いただいたデモと同様に、スマートフォンはゲートウェイとしての機能を担い、指示する側も受ける側もモノという状況が増えると予想。そういう状況では、デバイス WebAPI のような仕組みは重要であると締めくくっていただきました。