第6回技術ワーキンググループ会合レポート
2017年2月2日(木)に、第6回技術ワーキンググループ会合が開催されました。その模様を紹介します。
アジェンダ
- HeartSyncのアップアップガールズ(仮)@武道館ライブでの利用
- 株式会社ワンチャン チーム beaucoup de θ
- Z-WAVE無線技術の概要とCES2017報告
- Sigma Designs Japan, KK 大津 行洋 氏
- 無線通信規格Wi-SUNの最新動向~スマートメータから大規模センサネットワークでのIoT活用まで~
- 株式会社日新システムズ 和泉 吉浩 氏
- 環境発電(エナジーハーベスト)に適した無線方式EnOceanの技術・市場動向
- アーミン株式会社 服部 俊幸 氏
- デバイスコネクト対応機の弊社確認結果とご相談
- ソフトバンク株式会社 中山 大輔 氏
HeartSyncのアップアップガールズ(仮)@武道館ライブでの利用
株式会社ワンチャン チーム beaucoup de θ より、女性アイドルグループ「アップアップガールズ(仮)」のライブでのデバイスコネクトを使った取り組みを紹介して頂きました。
2016年11月8日に、アップアップガールズ(仮)では初となる日本武道館でのライブが開催されました。このライブ開催に向け、アップアップガールズ(仮)の各メンバーの心拍をファンと共有するHEART SYNCと呼ばれる取り組みが行われました。
HEART SYNCでは、ライブ中、アップアップガールズ(仮)メンバーに心拍センサーを装着し、来場者およびネット上のファンが彼女らの心拍を感じることができます。
彼女たちに装着された心拍計「hitoe」からの心拍データはスマートフォン経由でクラウドにアップロードされます。ファンは、スマートフォンにデバイスコネクトをインストールし、アップアップガールズ(仮)の公式ホームページ上に公開されたWebアプリからビジュアルおよびバイブレーションを通して心拍をリアルタイムに感じることができます。あわせて、一部の来場者には心拍に同期して振動する専用デバイスが配布されました。
デバイスコネクトによってシステム開発が容易になったというメリットがある一方、ファンの環境準備の難易度が今後の課題となると提言いただきました。
Z-WAVE無線技術の概要とCES2017報告
Sigma Designs Japan, KK 大津 行洋 氏より、サブギガ帯無線技術「Z-Wave」の概要と、ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2017」におけるZ-Waveの動向についてご講演頂きました。
Z-Waveは、他の無線方式と同様、ロゴ認証制度があり、各メーカーのZ-Wave機器の相互運用性に優れています。Z-Waveアライアンスは450のメンバーからなり、すでに1,700以上の製品が出荷されています。
Z-Waveの到達距離は1mWで30メートル以上をカバーできますが、独自のメッシュネットワークの仕組みがあり、それを使うことで最大150メートル程度の範囲をカバーすることができます。Z-Waveの技術仕様は無償で一般公開されており、誰でもZ-Waveを使ったシステムを構築することが可能です。
CES 2017では、Z-Waveアライアンスのパビリオンに40社以上が出展しました。CES 2017の会場の一つであるサンズ会場では、Z-Waveを使ったスマートホームを体験できるZ-Wave Experienceと呼ばれるデモ環境が用意されました。
無線通信規格Wi-SUNの最新動向~スマートメータから大規模センサネットワークでのIoT活用まで~
株式会社日新システムズ 和泉 吉浩 氏より、サブギガ帯無線技術「Wi-SUN」について解説して頂きました。
Wi-SUNは近距離無線の中では通信距離が非常に長く、500メートルから1キロメートルをカバーできます。Wi-SUNはすでにスマートメーターに採用され、各家庭への導入が進んでいます。スマートメーターでは、通信方式に「Wi-SUN ECHONET Profile」のBルート向けプロファイルが採用されていますが、家電機器と通信するための「HAN」(Home Area Network)と呼ばれるプロファイルも用意されています。
そのほか、交通インフラ、農業、医療などの分野への応用も期待されています。ECHONET Profileに加え、大規模ネットワーク向けIPv6マルチホップをサポートしたFAN (Field Area Network) Profile、センサーネットワークやFA向けの低消費電力を特徴としたRLMM Profile、その他、ガスメータ向けのプロファイルも策定中です。
環境発電(エナジーハーベスト)に適した無線方式EnOceanの技術・市場動向
アーミン株式会社 服部 俊幸 氏より、サブギガ帯無線技術「EnOcean」について解説して頂きました。
EnOceanは環境発電(エナジーハーベスト)が大きな特徴です。一般的な無線技術を使った機器はコンセント経由または電池などの外部電源を必要とします。しかし、EnOceanは自己発電による電源供給が大きな特徴です。その自己発電を行う仕組みをハーベスターと呼びます。ハーベスターには、電磁誘導発電、ソーラーセル発電、ビエゾ(圧電素子)発電などがあります。
欧州ではすでにビルオートメーションの分野でスイッチやセンサーが普及しています。日本では高齢者見守りの分野から普及し始めています。今後は、農業や公共インフラ監視などへの応用も期待されています。
日本国内では、すでに、電磁誘導を使った押しボタンスイッチ(ロッカースイッチ)、ソーラーセルを使ったマグネットセンサー(ドア開閉センサーなどに使われる)、湿温度センサー、人感センサーなどが販売されています。また、振動発電によるビーコンも商品化されています。
デバイスコネクト対応機の弊社確認結果とご相談
ソフトバンク株式会社 中山 大輔 氏より、デバイスコネクトを使った各種デバイス連携の動作の検証の結果をご報告いただきました。
さまざまなデバイスの連携がビジネス用途で求められる中、その仕組みとしてデバイスコネクトの採用を進めるべく、まずは、既存のプラグインの動作確認を行いました。さらに、さまざまなAndroidバージョンでそれらの動作検証を行いました。
検証の結果、すべてのAndroidバージョンで動作しないプラグインがいくつかある一方、Androidバージョンによって動作しないものもありました。プラグインが動作しない原因として、Android OSのアップデートにプラグインが対応していないことや、デバイス側のファームウェアアップデートに対応していないことが考えられるとご報告いただきました。
この結果を踏まえ、デバイスコネクトの商用利用においては、プラグインの動作保証の責任の所在を明確化する必要があるとのご提案をいただきました。その手段として、デバイスメーカーによるプラグイン開発、コンソーシアムによる認証の仕組みなどを例に挙げて頂き、今後のコンソーシアムとしての活動として議論を深めたいとの提言を頂きました。